バックラッシュ製作所

空回りもなんのその。微力ではあるが、無力ではない。

45年前の旅へ

お盆休みは、入院中の鈍った身体を少しでも引き締めることを前提に動き回っていました。(車ですが^^;)

かといって、遠方まで出かけるとなると東へ行くとすぐに“県またぎ”ですし、西は水害の被害があります。

なので、出雲市周辺をパトロール巡回し、新しいスポットを見つける旅に出ました。

旅と書くと大げさではありますが、ヘンリーミラー曰く“家から一歩外に出れば旅だ”

吉行淳之介著“街角の煙草屋までの旅” 伊集院静氏ご本人の経験された“なぎさホテル”

確かに見方・視点を変えれば全てが新鮮に映り、今まで見聞きしていたことが新たな情報となって旅へと誘ってくれるようだ。

 

もちろん人の五感をフル活用しなければ旅に出れることはない。

 

我が家から5分も車を走らせれば、景色は一変するところが点在している。

田舎(出雲)に住んでいると車は移動手段に持って来いだが、如何せん景色もなにもすっ飛んでいく。

やはりご近所界隈は徒歩に限るな。

車に乗って直ぐにそう気づいた。遅い。

車は我が家から南に進路を取り、どんどん中心地から遠ざかって行った。

医大の前を通り神戸川を越そうか?左折して南の山方面へ行こうか?

姐さんが『左』と言った。

カチカチとウインカーを出し、工業高校前の道に進入した。

この辺りも随分変わってしまった。塩冶小学校に通っていたのだが、塩冶小学校前から工業高校前まで田んぼの中に一本道があり、通学の帰路とは違うこの道に嵌っていたものだ。(魚獲りとかバッタ獲りとか)

遠かった気がする。

道の終わり、工業高校前には魚屋さんがあり同級生の家だった。

今年正月にその魚屋の同級生に合った。(還暦の会)

中学卒業以来だから45年ぶりだ。

野球をしていた彼はがっちりした体躯で背も高かった。

なにより今でいうイケメンであった。

45年ぶりの彼はやはりがっちりした体躯や背丈、イケメンぶりは昔のまま、。

そのまま年をとり、イイ感じでおじさんになっていた。

当時は気が付かなかったが、今は笑うと八重歯がチラッと見える。

オイオイ・・・よけいにステキじゃないか^^;

昔からスポーツ刈であった彼の頭は、薄いところは微塵もなく、きれいなグレーヘアになっていた。昔から女子に囲まれていた彼は、相変わらず今の女子(同級生)に囲まれていた。その女子達であるが、判る女子(見覚えのある女子)もいれば、ハテ?どなただったか?と思う女子も何人かはいらっしゃる。もちろんこちらの事を覚えているのかは不明でありますが。

男子に至っては髪が薄くなった人や全くない人、体重増となった人や小さくなった人。

わたしの隣に座った人には申し訳なかった。『よ~久しぶり~』と話しかけていただいたのだが、一向にその方との記憶が蘇らなかった。

お勤め先は市内にあり、毎年使わせていただいているのだから、お会いしている可能性は十二分にあるということだ。ヤバい。

その場合、彼はわたしのことを見覚えがあり、仕事上『よ~久しぶり~』と言えなかった(言わなかった)のかもしれない。彼の仕事上それはありえる話だ。

当然この場でその時の事を話してもよいのだが、『よ~久しぶり』なのであり、それが大人の対応ってやつか・・・

彼はガリガリとまではいかないが細い。ちよっと細すぎるところが頼りない感じがするし、それに加え髪がかなり少なくなっている。

パッと見、イケてないオジサンに見えるが、ピンと背筋が伸び大人の対応の事を考えると、先ほどのイケメン同様、引き付ける何かを持っているようだ。

 

そんなことを考えてると直ぐに工業高校前は通過し、正面には斐伊川神戸川の放水路の橋上を車は通って行った。

橋を渡り切った時、右手に何か建物らしきものが見えたような気がした。

えっ?と思ったくらいでそのままUターンすることもなく通過してしまった。

 

ひとしきりドライブをして、元来た道を我が家の方へ向かっていた。

もうすぐ放水路の橋に差しか掛かるな。その時。

『なにアレ?』

姐さんがよく言うフレーズであり、助手席に乗っているとキョロキョロが大好きで、今まで気づかなかったことやおしゃれな家や建物、変なおじさんやおばさんの観察が必須となるのです。

例の如く『なにアレ?』に反応しないわけにはいかないですから、一応『どした?』と聞き返すわけですね。

わたしは運転中なので脇見厳禁。ですがチラ見はするわけです。

『ほらほらアレ。あの建物。』

チラ見すると、一瞬ではありますが広い駐車場に平屋の建物があり“のぼり”が数本立ててありました。

『なんかあるね。』のわたしの言葉に被せるように『のぼりに無料って書いてある!』

『ハイ左折!』と姐さんが言う前に左ウインカーは出している。

 

南は神戸川があり、左手に馬木不動尊や右手に勝定寺方面が一望だ。

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西は斐伊川からの放水路で、神戸川への合流地点、向うには古志橋が見える。

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北を見ると、この間までお世話になっていた医大や、出雲市の中心地が見える。

その向こうには北山の峰々が連なっている。

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東はというと、斐伊川神戸川の治水事業の一大プロジェクトである放水路が人工的な姿を見せている。ヤマタノオロチ伝説で云うところの、ヤマタノオロチ=氾濫した斐伊川説というのが一般的だ。

その氾濫を抑えるための放水路がこれだ。

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ここは斐伊川放水路事業記念館。

先ほどの橋は何十回通っいるにもかかわらず、全くもって“ココ”を素通りしていたのだ。

おそらく町内の回覧板にも掲載されているに違いないが、わたしも姐さんも素通りしてたってことだ。

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館内はもちろんのぼりの表記と同じく無料です。

詳しくはコチラをご参照下さい。

www.city.izumo.shimane.jp

斐伊川放水路事業記念館では、島根県百年の大計といわれる斐伊川神戸川治水事業の一つである斐伊川放水路事業を中心に、計画策定から完成までのあゆみや、事業に伴い調査された埋蔵文化財斐伊川放水路事業により生活環境が大きく変わった沿川地域の記録などを、放水路事業ゾーン、歴史文化ゾーン、生活文化ゾーンに分けて展示、説明しています。】

 

館内には、発掘された化石や横穴式墳墓群。工事に使われた重機(ラジコン これの操作が実にリアルで面白かった。口をポカンと開けながら夢中で操作しているわたしがいた。)1975年の出雲市の空撮写真があり、その中でも地元の空撮写真にはその場から動けなくなるほどの思い出が詰まっている。近所の山での秘密基地。

何も知らず塀の向こうへ侵入したら女子寮の敷地内で、エライ目にあった10歳。

親父に全力で追いかけられて逃げ込んだ川。ここまで逃げ込んだら大丈夫。と思い振り返ると橋の上から川へ着地する親父。未だにターミネータとかプレデターを見るたび親父を思い出す。

中学生時代は、前回のブログネタで書いた、橋の上から飛び込んだって話し。

当時は放水路もなく、ひたすら自転車を全力で漕いでいた時代だ。

写真、赤い線が現在の放水路となっている。

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そして写真をよくよく見ると、昔住んでいた家が写っているではないか。

今住んでいる家は土地だけが確認できる。

いやはや懐かしい。

45年の歳月は遥か向うに行ってしまったが、忘れかけていた記憶を鮮明に思い出させてくれる旅であった。

 

車社会・AIの進歩・インターネット環境の充実・作業効率の向上はもちろん、全てのインフラにおいても効率化とスピード重視の世の中になっている。

身体や記憶の経年劣化は致し方ないが、五感の感覚は、経年と共に経験値を積んでいるもの。

スピード重視の世の中に身を任せつつも、五感だけは研ぎ澄ませていきたいものだ。

 

16:00閉館の、15分前に入館したにもかかわらず、『まだ大丈夫ですよ。ゆっくり見て行ってくださいね^^』と女性の方が案内してくださいました。

 

おそらく同じ世代の方だと思う。

どこのお店に行っても期待通りのマニュアル化が進んでおり、おじぎの角度は何度であり、こちらの質問にはこの受け答え、担当以外のコトには心ここにあらず。

お金を使わないとみれば急変する態度。

そんなマニュアルには飽き飽きしている年代のわたしと姐さん。

15分はアッという間でして

『もう16時だから直ぐに出ますね。』内心焦りながら女性に言うと、

『どうぞゆっくりなさってください。上には小さいですけど展望デッキになってるんですよ。』

『えっ?まだいいんですか?』

『わたしはまだ片付けがあるので大丈夫ですよ。お時間よろしければ、上も是非見学なさってくださいね。』

早速上の展望デッキに上がらせていただき、東西南北の眺望を楽しませていただいた。ということです。

 

『いかがでした?もしよろしければ当時のDVDとかもあるんですよ。』

『いいんですか!』の言葉は流石に飲み込むくらいの経年技術は積んでいる。

近いうちにじっくりと再訪を誓い、記念館を後にした。

いい意味で、期待以外の対応の女性に、とても優しさと思いやりを感じ、感謝し、旅のいい締めくくりを味合せていただいた。

 

『今日は発泡酒じゃなくってさ、ビールを飲もうや。』

わたしの提案に

『あたりぼう。』(あたりまえの意味)

姐さんの答えは相も変わらず非マニュアルであることは云うまでもない。

 

夏であれば、南の山には雲の峰がにょきにょきもこもこと立ち昇っているのだが

、全く澄んだもので、もこもこのモの字もない。

きれいな青色であり、どことなく秋の青?なのかもしれないな。

16:15までずうずうしくも見学させていただいた。

 案内員さん、ありがとうございました。

 

 

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