バックラッシュ製作所

空回りもなんのその。微力ではあるが、無力ではない。

ヲレはマダ

自宅療養中の身ですから、不要不急の外出は控えなければなりません。

かといって、一歩も外へ出ないというのも逆に健康上よろしくないかと思い、毎日少しづつ散歩と称して出歩いています。

お盆休み前もキビシイ暑さだったので、いきなり炎天下の中へ出ては倒れるんじゃないかと思い、エアコンの効いているゆめタウンやイオンで歩くことをしていました。

ただ病み上がりは突然のめまいに襲われることがあり、フリーズすることもしばしばありました。

ラクラっとすると、そのたびに姐さんに支えられているおじさん。(笑)

しゃれにならないくらい恥ずかしい・・・

14日からはめまいもほとんどなくなり、ドライブと少しづつの炎天下散歩ができるようになり、プチ遠出も可能になりました。

 

立久恵峡からの帰り道、神戸川の流れを見ながらふと昔のことを思い出し、姐さんに

『昔さ~この神戸川で泳いだり、岩の上や橋の上から飛び込んでたりしたんだぜ。』

『へ~バカじゃない?』

たしかにバカでした。

・・・そういえばあれから一回も“その辺り”には行っていなかった。

『ちょっとバカしてたとこ寄ってっていい?』

『つきあってあげるわ^^』

1974年~1976年頃だから今から45年くらい前のことだ。

左にウインカー出し当時の道へ入って行った。

しばらく行くと懐かしい街並みが記憶を蘇らせていった。

こんな場面に出くわすと自然とスピードは落ちてくるもので、明らかに辺りを物色している不審車両のなにものでもない。

幸い前後には一台の車も見当たらないので20km 30kmで懐かしさを探している。

やがて視界は広がり左手に見える神戸川が、左へカーブしている。

『あった!』

あの“橋”や“岩”や“淵”が前方にある。

少しだけ余裕のある路肩へ車を停め、炎天下の中へ足を下ろしてみた。

エアコンの効いた車内で慣らされた身体には、一気に湿度と暑さを体感することとなり、毛穴のひとつひとつから汗が噴き出るのがわかる。

『あっつー』と言いながら姐さんも出てきてしまった。

『ほら、あの橋 あそこから飛び込んでたし、あの岩がおにぎり食べたり着がえしてたとこ。その右が深い淵になってるんだ。』

姐さんは ふ~ん と言っている。

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透くんや誠、輝ちゃん、公一、やっつん、守ちゃん

フナや鯉やウグイに鮎やなまず、今からは考えられないけど“素手”で捕まえてたもんだ。

淵の流れはとてもゆったりしているが、上流や橋の下流は浅く流れも速い。

皆で橋の下流から上流まで泳ぎを競争したりしてた。

一番ビリのやつが罰ゲームと称して、例の橋の上から飛び込む掟を実行しなければならない。

なので毎回が全力であり、“えずく”(ゲロが出る)まで泳いでいた。

この時のシゴキが、後の素潜りと遠泳を可能にしていたと思う。

 

若かりし頃のみんながあの辺りではしゃいでいる。

 

『あの橋の上に行ってみようよ。』

 

車の中は快適な室温で、一気に汗が引くのがわかった。

右にウインカーを出し、前後の安全を確認して動き出したが、あれから一台の車も通っていないことに気付いた。

車はあの淵のカーブに差し掛かりゆっくりゆっくり左へハンドルを回していた。

山と高い木々に囲まれた淵の上の道は一段と暗く、さっきまでの炎天下がウソのようだ。どことなくじめじめしていて陰気くさく、木漏れ日の無さがよりいっそう心細さを思い出させる。記憶とはそういうものなのかもしれない。

少し道は上ると木漏れ日がキラキラと動いているところがあり、そこから下に降りるとおにぎりを食べていた岩の上に出る。今はガードレールと草に覆われていて“降り道”がわからない状態になっている。

視線を戻すとすぐさま視界が広がり、あの暑そうな現実が待っている。

『橋だ!』

左側には路駐できる路肩はなく、右にウインカー出し、しかたなく右側のスペースに右側駐車をした。・・・ごめんなさい。少しだけだから。

 

ふたたび炎天下の中へ踏み出した。

風が吹いているが、不思議と音はしない。ただ首筋にはジリジリという焼ける音がしているようだ。

目の前にはあの橋がある。

アスファルトで舗装されているがあの橋だ。

太い欄干が向こうまであるがあの橋だ。

45年前は木造だった気がする。

欄干も木造で今よりずっと低く造られていた気がする。

そうだ・・・走って飛び込んでいたはずだ。

ワクワク ドキドキしながら着地点(水面)を確認していた。

今、覗き込んでいる。

相変わらずワクワク ドキドキしているじゃないか。

 

眼下には左側にテトラポットが組んであり、護岸整備がしてあるようだ。

(先ほどの写真は向う岸のお宅前から撮っている)

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少し右に視線をやると・・・驚いた。

川底にもテトラが埋め込んである。今ここで飛び込んだら確実に死ぬな。

 

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 ただ嬉しいことに、テトラの上には魚の姿が見える。

おそらく、ハヤとかゴズだと思う。いいじゃないか。

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ちょっと下がって、走ってから欄干の前で止まってみた。

一瞬“キモ”がスーッと飛び出しそうになり、おしりの穴がゾワゾワする感じになった。

あの高いところから、真下を見た時のあの感じだ。

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45年前もゾワゾワしてたんだろうか?

何も考えずに飛んでいた気がする。

最初に誰が飛んだんだっけ?

『大丈夫だけん ひろちゃん。すっごい気持ちがいいけん。』

『オレが先に行くよ!』

 

 

 

あの時の仲間は二人、既に向こう岸へ行ってしまった。

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姐さんが言う。『今日はビール飲んでみるだわね。』

入院から自宅療養まで随分禁酒していた。

 

ヲレハ マダ ムコウギシニハ イカナイ。

 

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